前向きに、諦める。【諦める力】為末大

書評

こんにちは。

今回は大ベストセラーになった『諦める力|著者 為末大(小学館文庫)』を読んでの感想・気付きを記事にしようと思います。

僕は転職活動をする中で「これは逃げではないのか」と思うようになって自分を責めていたとき、この本に出会いました。

「挫折しそうになったら読め」

とYouTuberが紹介してたので、すぐポチったを覚えています笑。

この本は著者の為末大さん自らの経験談を語ったもので、めちゃくちゃ説得力があります。

アスリートとしてやってきた僕にとっても共感できる部分があり、さらなる気付きをたくさん教えていただきました。

経験談はすごいですね。説得力や深みが違う。人生は経験が大事ですね〜。

こんな人にオススメ

  • 引退・転職をしようか迷っている
  • 自分には向いてないんじゃないかと悩んでいる
  • 諦めきれない

このような人には参考になると思います。本当に良書です。自分の人生の方向性が見えてくるんじゃないかなと思います。

僕は印象に残った5つをざっくり取り上げて話しますが、できれば買って読んでほしいです笑。それぐらい良書です。

では、さっそく始めていきます。

 



諦めないことの代償

最初としては少し重い内容になりますが、大事だと思ったので取り上げます。

もう少し、もう少し、とやめる時期を延ばした結果、就職するタイミングを逃してしまって生活が立ちゆかなくなったアスリート。

結婚話が持ち上っている恋人がいるにもかかわらず、成功する見込みのない競技を諦めずに続けた結果、結婚を約束した相手に逃げられてしまったアスリート、、、、。

『諦める力|著者 為末大(小学館文庫)』より (以下、引用文も同様)

スポーツを諦めずに長く続けることは、いいことばかりなのだろうか。

決してそうではないと思っている。

ほとんど語られていないので多くの人は知らないだろうが、いざというときに切り替えられなかったため、人生に弊害が出てしまったアスリートはかなりの数に上る。

35歳まで競技生活を諦めなかったアスリートが、社会経験がまったくない状態で就職活動をしたとしても、採用してくれる企業はほとんどない。

そのために、生活が相当苦しくなっている元アスリートを、何人も知っている。

「見込みもなかったのに、なんでここまでやっちゃったんだろう」

「こんなことになるんだったら、二十代前半ぐらいに、いろいろな人に話を聞いておけばよかった」

元アスリートのこうした声を、マスコミはほとんど取り上げない。

取材したとしても感動を呼ぶような話題ではないので、表に出ることはまずない。

競技生活を続けることも、その結果、引退後の生活が苦しくなるのも、最終的には本人の責任である。

『諦める力|著者 為末大(小学館文庫)』より

〜〜〜〜〜

少し長く本書を引用しましたが、僕は大事なところだと思いました。

志半ばに引退した人も多くいるし、成功者はごく一部です。(ここでの成功者とは勝ち残った人。優勝した人など。)

  • その成功者がメディアに取り上げられ、負けた人は見向きもされない。
  • その成功者が「努力が実った」と言い、周りの人は「努力は報われる」と成功者を称賛する。
  • 負けた人は「努力が足りなかった」と言われて終わり…。

でも、これが現実ですよね。

僕はさらに印象に残った部分があります

長くやり続けることは称賛されることはあっても、批判されることはまずない。

  • 周囲が「諦めないでがんばって」と応援してくれるので、それに勇気づけられてがんばってしまう。
  • その後、うまくいかなくなっても手を差し伸べてくれるわけではない。
  • 「諦めろ」という人はなかなかいない。「頑張れ」と口だけで応援する

そんな人だけではないと思いますが、そういう人が多いのは確かです。

別に周りの人が悪いのではありません。

その現状を知らず、周りに流されて今後を見据えずにやっている人がいけないのである。

世間の風潮としてこれはあると思います。だから、その人は気付くしかないです。

これが現実です。

「せっかくここまでやった」という呪縛

経済学に「サンクコスト」という考え方がある

ある映画を観ようと1,800円を支払って映画館に入ったが、2時間の作品の30分を観たところで、耐えられないほどつまらないと感じたとする。

しかし、入館して途中まで観てしまった以上、支払った1,800円を取り戻すことはできない。これがサンクコストだ。

あなただったら残りの1時間半をどのように行動するだろうか

  • ほとんどの人は最後まで映画を観るという選択をしがち
  • つまらない映画を観続けることで、お金時間も無駄にしてしまう
  • 日本人は「せっかくここまでやったんだから」という考え方に縛られる傾向が強い

何かを決断する時、重要になるのが次の2つ。

①もう少しで成功するから、諦めずに頑張ろう

②せっかくここまでやったんだから、諦めずに頑張ろう

前者は、成功しそうだという未来を見ている。

後者は、これまでやってきたという「過去」を見ている。

これらはまるで異なる結果をもたらし、

希望と願望を混同している人が多くいます。

「成功する確率が低いのは薄々気付いているけれども、もしかしたら成功するかもしれないから諦めずにがんばろう。今までこれだけがんばってきたんだし」

願望を希望と錯覚してズルズル続けている人は、やめ時を見失いがちだ。なぜなら、願望は確率をねじ曲げるからである。

「サンクコスト」この言葉は知っておくといいかもしれませんね

勝つことを諦めない

これは著者の為末さんが一番伝えたかったことだと思う

そして、僕もこの部分が一番心に残りました。

  • 「100mを諦めたのはではなく、100mには僕には合わなかったんだ」
  • 「100mを諦めたのは、勝ちたかったからだ」
  • 「勝つことを諦めたくないから、勝てる見込みのない100mを諦めて、400mハードルという勝てるフィールドに変えた」

つまりは、自分の奥底にある本心を言語化することが大事なんだと思います。

「勝つことを諦めたくない」

「AがやりたいからBを諦めるという選択」をしたに過ぎません。

多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っています。

でも、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか…。

自分が「勝てる場所」を意識する

あなたが本当に大事にしているものは何ですか?

その手段でしか達成できないですか?

今一度考えてみましょう。

戦略とはトレードオフである

では、僕たちはどのような戦略で戦えばいいのか?

それは、トレードオフという考え方が大事になってくる。

トレードオフとは、何かを達成するためには何かを犠牲にしなければならない関係のことである。

諦めとセットで考えるべき。

だめなものはだめ、無理なものは無理。そう認めたうえで、自分の強い部分をどのように生かして勝つかということを見極める。

極端なことを言えば、勝ちたいから努力するよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。

最高の戦略は努力が娯楽化することである。

練習量で例えるとすると

才能のある人は、練習の一部が娯楽になっている可能性があります。

しかし、才能のない人たちにとってみたら、練習が苦役でしかありません。

イチローばりの練習を、他の人がやっても苦痛であるばかりか成果に繋がらいという意味で二重につらいことになります。

イチローがやったいたから、みんなもやればできる。

そんな風には思わないですよね?

「あなたの苦役は、あの人にとっての娯楽」

ということは、みんなが苦役で、あなたにとって娯楽なことを探せばいいことになります。

これが戦略だそうです。

すぐには見つからないかもしれませんが、探していきましょう〜。

「今の人生」の横に走っている「別の人生」がある

やめる決断をするときには、誰もがその後の人生を考えて不安に思います。

その不安が、決断にブレーキをかけることになります。

このとき、自分の人生の軸に走っている「別の人生」の存在を日頃から意識しているか否かで、気持ちの持ちようがかなり変わってきます

僕にとってこの考え方がとても参考になりました。

人には今歩いている道の横に、並行して走っている人生が必ずある。

例えば、アスリートという人生のほかにも、普通の企業に勤めるサラリーリマンとしての人生。

まずは、今見えているのとは違う人生があることを分かっておくことだ。

そうすれば「これをやめたら自分ではなくなってしまう」という、追い込まれた状況にはならないはずだ。

もし、懸命に走っている道で成功する確率がほとんどないと分かったとしても、その横には走っている人生に移ることができるのだということを理解しておくべきだと思う。

最後に

諦める=”明らかにする”(語源の意味)

何かを真剣に諦めることによって、「他人の評価」や「自分の願望」で曇った世界が晴れて、「なるほどこれが自分なのか」と見えなかったものが見えてきます。

前向きに、諦める。

そんな心持ちで、トレードオフしていきましょう。

まとめ

  • 諦めるとは、明らかにするということ
  • 目的さえ諦めなければ、手段は変えていい
  • 「今の人生」の横に走っている「別の人生」があるという心持ち

自分としっかり見つめ合い、自分の信念を見つけてほしいと思います。

ありがとうございましたっ

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為末 大(ためすえ だい)

1987年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400mハードルの日本記録保持者(2018年現在)。

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